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社員が仕事中や通勤中にケガをした時は?

社員が仕事中や通勤中にケガをした時は?

 会社の階段から落ちて膝を捻挫してしまった、カッターで指を切ってしまったなど…、仕事中の事故であれば、大げさに聞こえるかもしれませんが、すべて「労災」です。
 「労災」が起こった場合、会社の責任でケガの治療や休業費用などの補償を行うことが労働基準法で義務づけられています。

  しかし、実際に会社が治療費を出そうとすると、ケガの程度によっては大変な額になってしまいます。そこで、国で保険に入ることを義務づけて、労働者が必ず補償を受けられるようにする、会社が補償で倒産しないようにする(!)ことにしました。

  本来、通勤中のケガは会社に保証する責任はありません。しかし、社員がケガをして治療費を自腹で負担するとなると大変な事で、生活に支障が出てしまうかもしれないので、労災保険では通勤中のケガも補償されています。

 社員が仕事中や通勤中にケガをした時は、会社としては労働基準監督署に届け出て、本人がスムーズに治療を受けられるように対応します。

必要な手続きについては、以下の通りです。

■労災指定病院で治療を受けた時

 社員が仕事中や通勤中にケガをして病院にかかった場合、「労災です」と病院の窓口で伝えて、後で請求書を出せば自分の負担なしで病院にかかることができます。ただし、これができるのは労災指定病院だけなので、場合によっては確認しても良いでしょう。普通の病院はほとんど労災指定です。

 業務災害 ・・・「療養補償給付たる療養の給付請求書」
 通勤災害 ・・・「療養給付たる療養の給付請求書」
                    → 該当後、すぐに病院の窓口へ(労働基準監督署へ回送)

■労災指定病院以外で治療を受けた時

 社員が仕事中や通勤中にケガをして病院にかかった場合、病院が労災指定でなかった場合はいったん自分でたてかえて、あとで精算する手続きを取ります。結果的に払った費用が全額戻ってくるので自分の負担がないというところは同じなのですが、いったん立て替えなければいけないので、なるべく労災指定病院を選んだ方がいいでしょう。

 業務災害 ・・・「療養補償給付たる療養の費用請求書」
 通勤災害 ・・・「療養給付たる療養の費用請求書」
                    → 該当後、すぐに労働基準監督署

■4日以上欠勤した時

 社員が仕事中や通勤中のケガで欠勤して、賃金を受けられなくなった場合には、医師の証明を取れれば4日目から、労災保険から賃金の8割に当たる休業補償給付が支給されます。

 業務災害 ・・・「休業補償給付支給請求書」
 通勤災害 ・・・「休業給付支給請求書」
                    → 該当後、一定の期間ごとに労働基準監督署

■1年6か月を経過しても治らず、一定の状況に該当する時


 社員が仕事中や通勤中のケガで欠勤して、1年6か月を経過した日以降に治らず、一定の状況に該当するとき、ケガの程度に応じて年金か一時金を受けることになります。

 業務災害 ・・・「傷病補償年金(一時金)支給請求書」
 通勤災害 ・・・「傷病年金(一時金)支給請求書」
                    → 労働基準監督署にご確認ください

■治ったものの、後に一定の障害が残った時


 社員が仕事中や通勤中にケガをして治ったものの、一定の障害や後遺症が残ってしまったとき、程度に応じて年金か一時金を受けることになります。

 業務災害 ・・・「障害補償給付支給請求書」
 通勤災害 ・・・「障害給付支給請求書」
                    → 労働基準監督署にご確認ください

■事故により、死亡した時


 社員が仕事中や通勤中の事故で死亡してしまったとき、遺族の状況に応じて年金か一時金を受けることになります。

 業務災害 ・・・「遺族補償年金(一時金)支給請求書」
 通勤災害 ・・・「遺族年金(一時金)支給請求書」

  また、葬儀の費用が支給されます。費用は315,000円に給付基礎日額(おおよそ平均賃金)の30日分を加えた額です。その額が給付基礎日額の60日分に満たない場合には、給付基礎日額の60日分です。

 業務災害 ・・・「葬祭料請求書」
 通勤災害 ・・・「葬祭給付請求書」
                    → 労働基準監督署にご確認ください

ポイント 社会保険労務士ヤマモトからのポイント提案
 このように、社員の仕事中や通勤中のケガは労災保険でカバーされています。しかし、社長など役員の方は、「労働者」でないため、労災保険を利用することができません。もし仕事中に事故に遭うと、自費診療(10割負担)にするしかありません。

  健康保険が使えるじゃないか!とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、従業員5人以上の会社の社長や5人未満でも従業員と同じような業務をしていない社長などは、「仕事中」なので健康保険も受けられません。健康保険が使えるのは、仕事以外の事故に限られます。

  つまり、社長は保険の落とし穴にはまっています。

  しかし、これでは社長にとってあまりに不利益です。

 そこで私は、労災保険に特別に加入して仕事中のケガも補償を受けられる「労災保険特別加入」という制度をお勧めしています。
詳しくはこちら → 東京人事労務工房「労災保険特別加入制度」

  このガイドについてはすべて自己責任で利用していただくとともに、わからないことは行政(労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、健康保険協会)に確認してください。手続きに必要な書類も配布しています。それでもご心配の場合は…、私の方へご相談ください。
詳しくはこちら → 東京人事労務工房「スポット手続き」

中小・ベンチャー企業にありがちな失敗・・・
case

健康保険で処理したところ、後で連絡が入り健康保険分(7割)の返金を請求された。

プロならこうする!

返金後、労災への申請となります。手間でも労災事故は労災保険で対応しなければなりません。

case

任意保険で処理したところ、労災隠しを指摘された。

プロならこうする!

任意保険の処理であっても、労働安全衛生法による災害の報告は必要となります。

case

交通事故による通勤災害の際、相手方と示談を行ってしまった。

プロならこうする!

示談を行ってしまうと労災の申請が行えなくなるため、事前に従業員に周知しておきます。

case

病院から言われた書類を提出したところ、間違っていた。

プロならこうする!

病院が間違った書類の提出を指示することがあるため、注意が必要です。

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