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労災事故発生時など現場が労基署の調査の対象となったら?

労災事故発生時など現場が労基署の調査の対象となったら?

建設業の現場などにおいて、しばしば「労災保険を使うと労働基準監督署が調査にやってきて、工事が止まってしまう」という噂を耳にします。
これは正確には、労働基準監督署が労災事故の報告を受けた上で、安全衛生管理に問題がありそうな現場、労災事故が発生しそうな現場と判断したから調査にやってくるということでして、労災保険を使ったからといってすぐに調査にやってくるというわけではありません
労災保険を使わなかったとしても、建設業の現場などであれば労働基準監督署が調査にやってくる機会はなにかとあり、油断しているおりに臨検(臨時の検査)が入り、安全衛生管理に問題がある現場と見られれば、作業停止、使用停止、立入禁止などの命令書が出されて、指摘された点を改善して報告を行うまで、作業が止まってしまうということになります。


■労働基準監督署の調査の対象となるタイミングは?


・一斉調査(年間計画の中で行う巡回のようなもの)

・災害調査、災害時監督(労災事故が発生した際の調査)

・再監督(是正勧告などの内容が是正されているかの調査)

・申告時調査(関係者から申告があった場合の調査)


■労働基準監督署が現場を調査する際、よく調べられるポイント。


・墜落、転落防止の措置(足場、安全帯)が適切か

・安全衛生管理の体制(安全衛生委員会等の設置や運営)が適切か

・作業主任者が必要な業務に配置されているか

・型枠支保工の組み立てが適切か

・機械装置(クレーンなど)の使用が適切か

・労働時間が長すぎないか、休憩を取れているか


■労働基準監督署の調査の結果、会社が受ける影響とは。


・機械等の一時使用停止命令を受け、改善するまで使用できなくなった

・特定区画の一時立入禁止命令を受け、改善するまで立入できなくなった

・事業主に重大な過失があると判断されて送検された

・是正勧告を受け、後日改善のうえ、報告をすることになった


休業4日以上の労災事故が発生した場合は労働基準監督署に「労働者死傷病報告書」を提出して報告するのが被災者を直接雇う会社の義務となっておりまして、これをやらないと「労災隠し」ということになってしまいます
「労働者死傷病報告書」を出すと安全衛生の担当者へ報告が回り、そこから労働基準監督署の調査が入るというのは確かにありますが、これは安全衛生管理に問題がありそうな現場と判断されたから調査されるわけでして、現場を改善するチャンスと捉えるほかありません。ちなみに、休業3日以下の労災事故であれば「労働者死傷病報告書」の提出の義務はありませんので、労災保険を使っても安全衛生の担当者へ報告が回ることは少なく、調査の可能性は低いと見られます。
ちなみに、現場で「労災隠し」をやってしまう原因として、協力会社が元請への印象を気にする場合や、元請けが発注者への印象を気にする場合(特に公共工事)、大規模現場であればメリット制による保険料率が上がってしまうのを嫌がる場合もあります。また、労災の手続きや労働者死傷病報告書の作成が面倒といったことも言われます。しかし、起こってしまったことは致し方ありません。
「労災隠し」がのちのち発覚すると罰金や企業名の公表などもあり、リスクを考えるととてもお勧めはできません。健康保険や民間の保険などで処理しても、わりあい発覚してしまうものです。


ポイント 社会保険労務士ヤマモトからのポイント提案
多くの会社さんが労働基準監督署の調査には不慣れであり、調査の際には慌てて労働基準監督署側の言うことを鵜呑みにしてしまいがちです。しかし、調査で指摘を受けた点には積極的に会社側の意見を主張していくことで、最小限の対応で切り抜けられる場合があります。指導を受けた点についての対応については後日、報告を求められます。改善がなければ送検など強力な措置をとってくることもあるため、速やかに対応しましょう。指定の期限までに改善して報告をすれば作業を止めずにすませることも可能です。そもそもは労災事故を起こさないこと、安全衛生法令を守って労働基準監督署が調査に入ってきても問題の無い状態にしておくことが望ましいのはいうまでもありません。

中小・ベンチャー企業にありがちな失敗・・・
case

明らかに調査で指摘されそうなポイントを抱えているので、資料を隠してしまう。

プロならこうする!

資料の偽造や隠蔽などの行動はもちろんいけません。その上で…

case

調査の結果に応じられないので、指導を無視してしまう。

プロならこうする!

担当官と根気よく折衝し、現実的な範囲での対応とします。

case

調査の呼び出しを無視し、そのまま放置してしまう。

プロならこうする!

そのうち担当官が直接訪問してくるので、対応する方向で準備を進めます。


このガイドについてはすべて自己責任で利用していただくとともに、わからないことは行政(労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所、健康保険協会)に確認してください。手続きに必要な書類も配布しています。それでもご心配の場合は…、私の方へご相談ください。


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